- Anthropic の Claude Code ヘッドである Boris Cherny が、AI コーディングツール普及後の開発の世界について議論するエピソード。
- 彼自身は 11月以降、手書きコードをゼロにし、毎日数十本の PR をシップする傍ら、「コーディングは実質解決済み」と断定し、エンジニア職そのものの定義が変わる未来を語る。
- プロダクトマネージャーとエンジニアの境界が曖昧化し、年内に『ビルダー』という統一的な職種に収斂していく可能性、および AI 時代に求められる適応力について、第一線での実体験から丁寧に掘り下げている。
論点をもう少し詳しく読む
コーディングは実質解決済み:エンジニアが書かない時代の生産性革新
Boris は 2024年11月以降、Claude Code が生成したコードを一行も編集せず、毎日10〜30本の PR をシップしていると述べている。手書きコード作業が消えた一方で、彼は「これまで以上にコーディングを楽しんでいる」と語り、その理由は「細かいボイラープレート や退屈な作業から解放されたから」だと説明する。エンジニア全体での生産性は 200% 増加し、単なる自動化ではなく、思考レベルの仕事にシフトが起きていることが示唆されている。
PM とエンジニアの役割境界が1年以内に消滅する可能性
現在、Anthropic の開発現場では「PM・エンジニア・デザイナー」という3職種に約50%の機能重複が見られており、特定の人物が複数の役割を兼ねるようになっている。Boris は年末までに、『ソフトウェアエンジニア』というタイトルが消えて『ビルダー』に統一されるか、あるいは『全員が PM で全員がコード』という状態になると予想している。この変化は人によっては苦痛だが、同時にキャリアの柔軟性を高める機会にもなると指摘される。
AI コーディングツール導入による職業満足度の分化:エンジニアと PM は向上、デザイナーは懸念
Lenny が Twitter で実施した調査では、エンジニアと PM の 70% が仕事の楽しさが増したと答えたが、デザイナーは 55% に留まり、20% が減ったと回答している。Boris の観察では、Anthropic のデザイナーはテクニカル志向で多くがコードを書くため、AI ツールで自分たちのブロッカーを自分たちで解除できるようになり、満足度が高い傾向がある。一方で、デザイナー全体の体験は多様であり、一概には言えないと慎重な見方を示している。
Claude Code の自律性進化:バグ報告を起点にしたプロアクティブな開発への転換
Claude Code は単なるコード生成ツールから、バグレポート、テレメトリ、ユーザーフィードバックを監視して自分でタスクを提案するようになってきているという。Boris は Twitter で直接バグ報告を受け、数分で修正をシップできる体験を実装しており、その迅速さに驚くユーザーが多い。これは Claude Code が『コードの書き手』から『チームメート的な存在』へシフトしていることを示唆しており、フィードバックループの短縮化が組織全体の意思決定速度にも影響を与えている。
第一原理思考とコモンセンスの重要性:プロセス至上主義への警告
Boris が繰り返し強調するのは『コモンセンスを使う』ことの重要性。彼が見てきた組織の失敗の多くは、プロセスを思考なく追従したり、ある施策が良い思想か検証せず慣性で進めたり、モーメンタムに乗ったまま悪いプロダクトを作り続けるパターンだという。最良の結果は、第一原理から考えて自分たちのコモンセンスを磨いた人たちから生まれる。「何かおかしいなと感じたら、それはたぶんいい考えではない」という直感的判断が、AI 時代にはより重要になると暗に示唆されている。