- Cursor のヘッド・オブ・タレント Adam Ward が、Facebook・Pinterest で実践してきた高密度チームの採用戦略を語る。
- 採用の最大の誤りは「漏斗」思考で大量の候補者を絞り込むことではなく、実は世界に50人しかいない最高人材を執拗に探し出すことに注力すべきだという、根本的な思考の転換を提示する。
- 面接官の選定、ワークサンプル、オンサイト経験の設計など、実装レベルでの具体的なノウハウも満載。採用を本気で優先順位の最上位に置く企業のための実践的なプレイブック。
論点をもう少し詳しく読む
「運命の漏斗」から脱却する:対象者を限定し執拾に追うアプローチ
多くの企業は採用を漏斗のように考え、100人にリーチして20%が優秀だと信じている。しかしそれは上位20%ではなく、たまたま悪い日に引っかかった人たちに過ぎない。Adam が実践しているのは、全く逆の思考だ。「この職種で世界に50人しかいない最高の人材がいる。その50人を見つけ出し、執拾に追い続けよう」という戦略である。これは採用の各段階で候補者を落としていく従来型とは正反対で、限定的な高品質リストを徹底的にアクティベートすることに全力を注ぐ。質問の仕方も重要で、「誰が最高の製品エンジニアか」という漠然とした問いではなく、「デザイナーと最も協調的に仕事できたのは誰か」「フレームワークを製品に落とし込む能力が誰より高い人を見た」といった具体的で役割に紐づいた質問をすることで、実際の適性を見抜く。
採用担当者の選定:過剰能力と不足能力の両極端を避ける
採用チームの構築で Adam が強調するのは、リクルーターのキャパシティバランスの重要性だ。採用担当者は90~110%の業務負荷のときに最高のパフォーマンスを発揮する。負荷が足りないと本来の力を発揮できず、パンパンになるとやはり質が落ちる。つまり最適な負荷を与えることで、集中力とアドレナリンが生まれ、質が担保されるという知見である。また、誰を採用ファネルに投入するかも戦略的である。最初の採用担当者を雇う際には、こうした特性を見抜ける人を選ぶ必要がある。
ワークサンプルとオンサイト体験による双方向の信号獲得
インタビュー段階で最も重要なのはワークサンプルだ。研究によれば、従来型の1対1の机上評価よりも実際の仕事に基づくサンプルのほうが成功予測力が圧倒的に高い。Cursor は長時間のオンサイト体験を設計し、候補者が実際にプロジェクトに従事し、チーム横で仕事をする機会を与える。これにより企業側が強い信号を得るだけでなく、候補者も会社の実態を感じ取ることができる。多くの企業のオンサイトは採用側が一方的に評価・情報抽出しているが、Cursor は自己選別の力を大切にし、体験を双方向にデザインする。面接官の選定、一緒にランチをする人の配置、挨拶をする人までも計算し尽くされており、全体で候補者の自己選別を促しながら、同時に企業文化とのフィットを実感させる。
現代のAI採用市場の白熱と、採用優先順位の重要性
Adam は採用市場の激烈さを「11段階」と表現している。20年間の採用経験の中でも、Mobile時代の争奪戦に似た局面だという。モバイルエンジニアが存在しない時代に企業がスマートフォンアプリを急いで構築したように、現在は AI・生成系人材への争奪が激化している。最後に Adam が強調するのは、採用を本当に最優先事項と位置づけられるかどうかが、組織全体の成長を決めるということだ。トップレベルの採用戦略と執拾な実行がなければ、今のような人材不足の環境では競争に勝てない。